外国人を雇用する際の環境の整備について

仕事

皆さん、こんにちは。横須賀市の行政書士、曽我です。
本日も前回に引き続き、外国人材の活用についてです。今回は受け入れるにあたっての心構えと、環境整備について、私見と経験を交えて、お話しします。受け入れたことのない事業所さんだと、一番不安になるところかと思いますので、是非チェックしてみてください。
外国人の受け入れも行っていたり、外国に赴任していた者の、実体験からの考え方なので、参考になると思います。ただ、私見・思いが入っているので、文章が多めになっています。お時間あるときに、考えながら読んでいただけると幸いです。

(参考)
私の事務所ホームページが完成しました。と言っても、まだまだ業務内容等記載することは多いのですが、まずは自分を知ってもらうことが重要と考え、そちらを優先したホームページとなっています。
ご覧いただければ幸いです。もちろんHPからお仕事の依頼も大歓迎です!よろしくお願い致します。

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外国人を受け入れるにあたっての心構え

抵抗感をなくす

心構えはこれしかありません。外国人を受け入れるということに対して、抵抗感をなくしましょう。

と言っても、全く接したことのない外国人に対して、いきなり抵抗感をなくせと言われても無理だよ、とおっしゃる方が大半だと思います。それはその通り、私もそうでした。むしろ誰でもそうでしょう。

ただ、なぜ抵抗があるのか、冷静に考えてみてください。
「言葉が通じないのでは」、「文化が違うので合わせられないのでは」、「犯罪とか失踪とか大丈夫かしら」など、ほかにもあるでしょうが、多くの方が感じている抵抗感(というか不安)はこういうものではないでしょうか。

もちろん日本で生まれ育ってきているわけではないので、日本との違いは絶対にあります。例えば労働観。日本人は非常に勤勉で、その日本から見ると、外国人は真面目に働かないという印象の方もいるかもしれません。ですが、他国から見ると、「やらなければいけないことは終わっているのに、なんで日本人はまだ働くんだ?」と不思議がられたりしています。

この意識の差があるから外国人は受け入れられない、のではなく、なぜこの差があるのかを説明できるようにすればよいのです。先ほどの例でいえば、「既にやることは終わっていても、お客様に喜んでもらうためにもっと商品を改善し、そうすればもっとお客さんを呼べるようになるんだよ」など、そこには必ず理由があるはずです。(ま、理由なく残業しているというのは、日本人の悪いところなんですけどね。)
よく言われますが、日本人は「阿吽の呼吸」など、言わなくてもわかる(もっと言えば、言わなくても理解しろよ)が根深く残っています。ですが、日本人同士ですらそれは通用しなくなっています。「自分の思いや意見、考えていることをきちんと相手に伝える」ことが必要なのです。もちろんそれは外国人相手にも言えることなので、一つ一つをきちんと言葉で伝えること。漠然とした不安で終わらせず、言語化すること。これがこの抵抗感を減らす一つの近道だと思います。

違うことを気にしない

また、文化が違う、犯罪・失踪とか大丈夫かというのは、「違うことを気にしない」というのが大切なのではないかと思っています。これもまた無茶な意見だな、と思うかもしれません。

ですが、日本人同士であっても、宗教の違いや地域の違いで驚くことも多いはずです。違うのは外国人相手だけでなく、日本人同士でも同じです。犯罪や失踪もそう。外国人だから、というのは当てはまりません。違うことは悪いことではありません。違うことを受け入れる、というか「ふーん」という程度で気にしないことが肝要です。ただ、注意が必要なのは、違っていることを無視しろとは言っていません。違い・異文化を理解することは最低限してください。(例えば宗教上の行為や禁忌、タブーなど)

ただ、受け入れるときの困るポイントはやはり、「言葉が通じない」、でしょうね。日本に来る外国人も日本語を勉強してくるとは思いますが、これは継続して日本語を勉強できる環境が必要です。この点については、後述します。

事業所での受け入れ環境の整備について

長々と心構えをお話ししてきましたが、実際に受け入れるとなれば、どのように体制を整えるべきでしょうか?ここからは環境整備についてお話しします。一応、ハード的なものとソフト的なものに分けています。

ハード面の環境整備

ハード面でいえば、「日本語教育」、「インターネット環境」、「衣食住」、「社会保険」だと思います。(思いついたら追記します。また既にお話ししている在留資格関係は除きます。)

日本語教育

母国で日本語の勉強をしていたとしても、日本人並みに話すことはもちろん難しいですから、継続して勉強できる(してもらえる)状況をつくることは重要です。コミュニケーションは言葉だけでなく、しぐさやボディランゲージも含めますが、当事者それぞれの思いをきちんと伝え理解するためには、やはり言葉になりますからね。
なので、極端に言えば、相手の言葉を理解するというのもアリです。私はフィリピン赴任中には、英語だけでなく彼らの母国語であるタガログ語も取り入れました。そうやって仲間だよ、家族だよという姿をアピールしていました。子供だましに思うかもしれませんが、人同士のコミュニケーションって、案外単純です。というか難しく考えずに、相手が喜ぶかな、という思いやりが必要なんですよ。

話は逸れましたが、日本語教育についてはやはりプロにお任せするのが良いと思います。自前でやったこともありますが、単語どまりで文法になると教えられません。

ただそれだとお金がかかる。。。というのが切実な悩みでしょう。
そこで、横須賀市では、外国人への日本語教育費の補助事業を行っています。(詳細は下記)

  • 補助対象者(以下の全てを満たすことが必要)
    ①横須賀市内の中小企業者または個人事業主
    ②市税の滞納がないこと
    ③横須賀市暴力団排除条例に基づく排除対象に該当しないこと
  • 補助対象経費
    日本語講師に対する謝金及び交通費、日本語学校・日本語講座等の授業料
  • 補助金額
    補助対象経費の2分の1以内(上限は1事業者当たり年間5万円)

こういうものを活用しながら、コミュニケーションのカギとなる日本語教育を行ってください。

インターネット環境

もしかしたら当たり前だと感じている方は結構ですが、中には、「そんなもの自分でなんとかしろ」という方もいるかもしれません。
諸外国では、町中に携帯ショップがあって気軽に契約できたりしますが、日本はまだその状況にはなっていないと感じます。旅行者用の短期SIMは売っていますが、長期となるとやはり契約が必要になり、契約だと外国人にはかなりハードルが高いです。

日本という外国にいて、母国の家族や友人と話したいという方は多いと思います。なので、これを支援してあげるだけで、受け入れた外国人からの信頼感は大きく増加します。

衣食住

基本中の基本で、こんなの受け入れるにあたって当たり前だよ、という方もいると思います。ただ、意外に「住」だけの配慮になっているのも目にします。

着るものって、アジアの方からすると日本は高いな、というイメージもあったりします。なので、自分で持ってくるのですが、それだけでは日本の風土には合わせられません。日本には明確にわかる四季があるので、夏と冬の気温差はかなり大きいです。着なくなった服をあげるというのも、地味ですが喜ばれます。なにより気にしてくれているという実感を持ってもらえます。

また、食事も宗教上食べられないものとか、個人的な好き嫌いとかあったりします。そういうときに、「ここに行けばこういうのが買える」などの情報はチェックしておくべきです。

あと、住居については、外国人の料理のにおいで結構な修繕費を取られるということもありえますので、外国人が住むことを事前に伝えて了解をもらっておいたほうがいいです。(喫煙者の扱いと同じですね。)

社会保険

これは日本で就労するうえで法律上強制のものは必ず、等しく外国人にも及びます。労災保険、厚生年金、健康保険は加入の手続きをお忘れなく。忘れたまま労災事故が起きると、非常に苦しい立場になりますし、おそらく以降外国人を就労させることは困難になるでしょう。

ソフト面の環境整備

ソフト面は、「事業所内の理解活動」、「人と人とのお付き合いという意識醸成」でしょうね。

事業所内の理解活動

あなたがもし会社の社長さんや総務人事の部長さんなら、ここまでを実施することは簡単です。ただ、実際には働く仲間がいるわけですから、その方々にきちんと説明し、理解してもらい、外国文化の知識を共有する活動は必要です。その時に気を付けるのは、上記の心構えだと思います。これさえ忘れなければ、受け入れに困ったり、受け入れ後に揉めたりということは減るはずです。

また、事業を大きくしようと考えている方は、日本だけでなく海外進出も場合によっては必要です。その第一歩ということも、働く仲間には伝えておけば、受け入れの苦労も昇華できるのではないでしょうか。

人と人とのお付き合いという意識醸成

これは心構えとも共通する部分ですが、結局は人と人とのお付き合いです。そこに外国人や日本人の区別はありません。違いや差があっても、あまり気にしない。理解はしても納得できない時もあるでしょう。そんなときは受け流すということも、時に必要だと思います。だって日本人同士でも納得できないこともありますから。あまり焦らず気にしすぎず、ゆっくり違いを埋めていけばいいんです。

あと、日本人ではないので日本語を流暢に使いこなせる方は少ないと思います。なので、話すときにはおじいちゃんおばあちゃんに話すように、ゆっくりはっきりと話してあげる。こういう気遣いも、人と人とのお付き合いですから重要です。

最後に

3回にわたって、外国人材の活用についてお話ししてきました。後半は、「えー、そうなの?」というものもあるかもしれませんが、私の実体験の話なのでご了承ください。ただ、外国人の受け入れということに対する重要な点はお伝え出来たかと思います。もし外国人材の受け入れにご興味ある方は、ご相談ください。一から一緒に成功体験を作っていきましょう。

また、途中で横須賀市のHPを添付しましたが、横須賀市では「ネパール」からの受け入れに力を入れているそうです。文化的にも宗教的にも受け入れやすい国だと思いますし、現地の日本語学校もしっかりしているようなので、こちらもご興味ありましたらご連絡ください。

今回もお読みいただきありがとうございました。では、またー。

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