こんにちは。横須賀市の行政書士、曽我です。
本日はタイトルにある通り、認知症での困りごと解決をテーマに書きたいと思います。先日のブログでも書きましたが、今月は世界アルツハイマー月間であり、このブログの公開日は世界アルツハイマーデーです。無関係だと思わずに、誰しもなりうる可能性のある認知症を正しく理解し、元気なうちにその対策をしっかりと取る。その一助になれば幸いです。
認知症とは?
認知症の概要
こちらについては、先日のブログにて記載しましたので、省略します。
(タイトルは成年後見となっていますが、中身の前半は認知症についてお話ししています。)
横須賀市の現状
単純ではあるが、人口・有病率から横須賀市の実態を見ていきましょう。
2020年4月時点での横須賀市の人口は約39万8000人、そのうち高齢者に位置づけられる65歳以上の人口は約12万6000人ということで、高齢化率30%越えの超高齢社会です!(ちなみに日本全体の高齢化率が約26%であるから、全体よりも早く高齢化が進んでいます。)また、高齢者における認知症有病率は2020年時点で17.2%です。
したがって、横須賀市には21,000人以上の認知症患者がいることになるのです。皆さんが普段すれ違っている高齢者の5人に1人が認知症の可能性があるということは、結構な衝撃ではないでしょうか。これを知って、「じゃあ、巻き込まれるのは嫌だから、高齢者にはかかわらないでおこう」ということは決して思わないでください!もちろん積極的に関わってほしいということは言うつもりはありません。避けないで、きちんとした対応をする、その準備をしておいてほしいのです。全く別のリンクですが、認知症の方を見かけたときの行動が書かれています。ご参考にしてください。
そして、これだけの数の認知症患者がいて、さらに人数が増える見込みだということは、当然ご自身にも罹患の可能性があるということです。認知症は誰しもがなるもの。当事者意識をもって考えていただきたいと思います。
認知症になって困ること
認知症の症状・行動
一般的には、以下のような症状・行動が現れます。
- 記憶障害(覚えられない、覚えていたことを忘れる)
- 見当識障害(現在の年月や時刻、自分がどこにいるか、周囲の人との関係性が把握できなくなる)
- 理解・判断力の障害(考えるスピードが遅くなる、二つ以上のことがうまく処理できなくなる、いつもと違う状況だと混乱してしまう、目に見えない仕組み(自動販売機、改札、ATMなど)が理解できなくなる)
- 実行機能障害(計画を立て段取りをすることができなくなる。例:買ってきた食材を使わず、冷蔵庫に同じ食材がたまる)
- 元気がなくなる(自信を失い引っ込み思案になる、意欲気力が減退する、うつ状態になる)
- 身の回りの動作や日常生活に支障が出る(入浴や排泄に援助が必要になる、徘徊してしまう)
- もの取られ妄想(いつもと違う場所にしまったり、しまい忘れたりして、そこから盗まれたと妄想する)
記憶障害や見当識障害は早期から出てくる症状で、日常生活がしづらくなるきっかけです。そこから認知症が進行すれば他の症状や行動が現れ、さらに日常生活に支障をきたします。
元気なうちからとれる対策とは?
こうした症状が出ないように(=認知症にならないように)予防策としてやるべきこと、そして認知症になってからの負担軽減のための行動をご紹介します。
認知症予防
フレイル予防
最近、「フレイル」という言葉を聞くことがあるかもしれません。フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指します。なので、認知症だけではなく、身体機能においても必要な概念です。
要は健康と不健康の中間にいると、だんだんと不健康に寄ってきてしまい、要介護状態になってしまうので、中間から脱却する(=フレイルを予防する)ために適切な治療や予防を行いましょう、ということです。
具体的には、
- 栄養をしっかり取る(バランスのいい食事、そのもととなる口腔ケア)
- 身体活動(歩いたり筋トレなど、楽しく運動をする)
- 社会活動(就労やボランティア活動、趣味や稽古ごとなどのグループ活動、友人や知人との交流や近所付き合いなど、地域社会にかかわる活動に参加する)
です。実際に運動や食事をはじめとする生活習慣病対策は、認知症予防に効果があると言われていますから、まさしくこの3つのうちの2つが有効になってきます。
そして社会との接触が少なくなったり失われたりすると、認知機能の低下を促進させてしまいます。ですから3つめの社会活動も必要な活動なのです。ですから、今働き盛りの方にもお伝えしたいのが、「仕事一筋で無趣味」というのは非常に危険です。いずれ仕事は退職するでしょう。そのあとも楽しく生きるために、何か一つでもいいですし、地域の活動に参加するだけでもいいです。「外」に出る口実を今から見つけておきましょう。
eスポーツ
近年、認知症予防に効果があると言われているのが、「eスポーツ」です。この言葉は聞きなじみのある方も多いとは思いますが、いわゆるテレビゲームです。今はテレビだけでなく、ネットも含めてのゲームには、脳を活性化させる効果があると言われています。
また、eスポーツは単なる一人遊びではありません。ほかの人と対戦したりと他者との交流が必然的にはかれます。なので、実際に体を動かすわけではありませんが、頭の運動と社会活動の2つを同時に行えるものなのです。(指は動かしますが。)
何より横須賀市はeスポーツ推進団体です。これを要介護状態や認知症予防に使わない手はないと思います。
介護保険についての理解
今まで医療保険にあまりお世話になってこなかった人は、介護保険にどういうサービスがあって、どういった人が利用できるのか、というのはピンときませんよね。特に高齢者の中には足腰は不自由だけど、他の人にお世話になるのはちょっとね、と遠慮しがちな方もいらっしゃいます。
昔は介護=国による措置=お世話になる、という時代もありましたが、今は介護=契約=本人が必要なサービスを選んで使うという時代です。レストランに入ればおまかせコースが待っているのではなく、自らメニューを選んで自分の好きなものを食べるようになっているのです。
自分に合ったものを選べるようにするためにも、元気なうち(=医療保険を頻繁に利用しなくてもよいうち)から、介護保険についても知っておくことが大切です。また、実際に認知症になってしまうと上記のような症状が出てくるため、保険制度自体を理解することも元気なころに比べて難しくなります。早め早めに、自分は利用しないだろうと高をくくらず、制度理解をしておくことをお勧めします。
接する家族が楽になる任意後見
最後は認知症になってもなお、自分らしく活きるための任意後見についてお話しします。前回成年後見制度についてのお話しでも触れましたが、任意後見は法定後見とは大きく異なります。
端的に任意後見のメリットをお伝えすると、「自分の信頼できる人を自由に選び」、「自分のライフプラン・好みに合わせて必要なサービス(=後見業務)を選択」して、「認知症発症後も自分の望むように自分を見守ってもらう」ことができます。先ほどレストランの例えを出しましたが、この成年後見でも同様です。あらかじめ知って任意後見契約を結んでおけば、自分で選んで自分で好きなように見守りをアレンジできるのです。
また、周りの方にとってもメリットはあります。それは、任意後見契約を結んでおけば、財産管理や契約ごとなど、本人に代わってスムーズに行えるのです。例えば、後見契約がなければ、不動産や預貯金の管理には非常に手間がかかったり、あるいは管理できないということもありえます。任意後見はあらかじめ代理で頼むことを挙げておくことで、いざ認知症になっても契約などの代理ができるようにしておくことができるのです。つまり、周りの方の対応も楽にすることができるんです。
ほかの方の言葉を借りれば、「医療保険などは体の保険、任意後見は頭の保険」です。あらかじめ入っておいて、いざその時が来れば、自分の気持ちと周りの方を楽にすることができる保険についても考えてみてはいかがでしょうか?
最後に
今回は世界アルツハイマーデーということもあり、認知症と事前にできる対応策についてお話ししてきました。と言っても、認知症の方が身近にいなければなかなか実感は湧かないかもしれません。今回ブログにしたのは、「知ってもらう、理解してもらう、考えてもらう」その入り口になればよいな、と思ったからです。
認知症になりたくてなる人はいません。「認知症の人」がいるのではなく、その人が認知症という病気になっただけです。また、認知症の人は何もわからないのではなく、わからない苛立ちを常に抱えて一番苦しんでいます。その支えとなる家族も対応に疲弊し苦しんでいるかもしれません。さりげなく援助できる「人間杖」が必要です。まずは認知症について正しく理解してもらえること、そしてその対応策をあらかじめ周りと話し合ってもらうこと。これが伝わっていればうれしい限りです。
今回もお読みいただきありがとうございました。では、またー。
(参考)
私の事務所ホームページが完成しました。と言っても、まだまだ業務内容等記載することは多いのですが、まずは自分を知ってもらうことが重要と考え、そちらを優先したホームページとなっています。
ご覧いただければ幸いです。もちろんHPからお仕事の依頼も大歓迎です!よろしくお願い致します。
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