こんにちは。横須賀の行政書士、曽我です。
突然ですが、星野源さんと新垣結衣さんの結婚には驚きました!なにせ急な報道でしたしね。
ドラマは見ていなかったのですが、恋ダンスはもちろん知っていて、二人で踊っている姿を見て、お似合いだなあ、と思っていました。当時からなんとなくそうなるのでは、と思っていましたが、ほんとにそうなるとは。いずれにせよ、お幸せに!
さて、本日も遺言の続き、相続の流れについてをお話しします。
(遺言part1) 遺言は縁起悪いもの? (遺言part2) 遺言は相続手続きを楽にする?
相続の流れ
不幸にしてお亡くなりになった方がいるとして、そもそもお亡くなりになった方に関しては、死後様々な手続きが発生します。具体的には死亡届や住民票の除票、お勤めだった場合は退職の精算などがありますが、ここでは相続に関するところだけをお話しします。(まずは遺言がない場合を前提にします)
相続の手続き・流れについては、
1.遺言の存否調査、2.相続人調査、3.相続財産調査、4.遺産分割協議、5.相続税の申告
というのが、おおまかな流れです。順を追って説明していきます。
(なお、今回は相続税の申告については、税務の話になりますので、割愛させていただきます。)
遺言の存否調査
故人が遺言を残していないかを確認します。
例えば、「お父さんは遺言なんか残していないだろう」とこの手続きを経ないまま相続を開始し、遺産分割協議を終えたところで遺言が見つかった。
となれば、最悪の場合、相続人調査からやり直しになってしまう可能性があります。すごろくの「ふりだしにもどる」と同じです。
遺言は個人の最終意思ですから、最大限尊重しなければなりません。また、遺言によって新たな相続人や相続財産が見つかったり、相続人ではない者への財産の引き渡しを望んでいたりする可能性もありますので、その場合遺言に従わなければ、その相続手続きには法的な問題が生じます。まずは遺言がないかを確認しましょう。
遺言には前回テーマでお話しした通り、3パターン(自筆、公正、秘密)があります。
自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、保管は故人自身ですので、故人の重要書類が入っていそうなところ(金庫、書斎机、仏壇、銀行等の貸金庫など)を探します。
公正証書遺言の場合は、公証役場に保管されていますので、お近く(でない可能性もありますが)の公証役場に尋ねる必要があります。
相続人調査
遺言が見つからなければ、次に故人の財産を相続する者を確定する必要があります。
具体的には、故人の戸籍を死亡から出生まで遡って、相続人が誰かを調査します。法定相続人という民法で定められた者(相続する権利を有する者)が基本的には相続の候補者になりますので、それを戸籍を使って調べます。
法定相続人というのは、具体的に言うと、以下の通りです。
- 故人に配偶者がいれば、その配偶者は以下の条件問わず必ず法定相続人
- 故人の子(実子、養子問わず)がいれば、子は法定相続人
- 子がいなければ、故人の父母が法定相続人
- 父母もいなければ、故人の兄弟姉妹が法定相続人
- もし故人の子が既に亡くなっており、子の子(=故人から見て孫)がいれば、孫は法定相続人
孫が法定相続人になる場合は、代襲相続と言いますが、難しい表現なので、以上の5つが基本的な条件です。
戸籍というのは話せば長くなるのでここでは割愛しますが、出生から死亡までで結婚したり離婚したり住所を変えたりして、何度も戸籍は変わっていきます。出生から死亡までで戸籍は平均して5、6回ほど変更されると言われているので、その場合少なくとも戸籍を5通取り寄せる必要があります。調べると、実は隠し子がいた、なんてことも。
ちょっと考えただけでも、「めんどくさい!」と思いますよね。しかしながら、こんな手続きを経なければ相続人を確定できないのです。
相続財産調査
相続人が決まれば、次は相続する物、すなわち相続対象の財産がどれでいくらあるかの調査があります。(実際は相続人調査との並行です)
こちらは上の二つに比べると、想像しやすいと思います。
具体的には
- 銀行等の預金がいくら残っているか
- 株や投資信託、債券など有価証券はないか
- 不動産はどこにどんなものを所有しているか
- 自動車は所有しているか
- 生命保険や骨とう品、ゴルフ会員権などはないか
- 借金等の債務はないか(いわゆるマイナス財産)
といったものを調べていくことになります。
ただ、調べると簡単に言いましたが、これも結構な労力です。例示すると、銀行預金も死亡すると基本的にはその口座は凍結されてしまい、最終残高を調べるのも相続人であること等を証明して初めて調査することができたりと、なかなか手続き上面倒なことも多いです。
また、マイナス財産も気にしておかなければなりません。
相続はプラス財産だけでなく、マイナス財産も引き継ぎます。いくらプラス財産があっても、マイナス財産があれば、それを支払う必要が出てきます。マイナス財産の支払いをしたいが、手元にまとまった資金がなければ、相続を断念する場合も考えられます。
しかしながら、相続の中には一定の期間でしかできない手続きがあります。
相続をしないという選択(相続放棄と言います。限定承認というものもありますが、それは省きます。)は、基本的には死亡日から3か月以内しかできません。3か月を経過すると、相続をするという判断をしたとみなされてしまいます。なので、マイナス財産しかない場合でも、3か月以内に相続放棄をしない限り、受け継ぐことになってしまいますので、注意が必要です。
遺産分割協議
相続人も確定し、相続する財産も把握したら、あとは相続人で話し合って各人の相続する内容を決めます。要は取り分を決めるということですね。
よく言う遺産争いというのは、この遺産分割協議の手続きで協議が不調に終わり、訴訟にまで発展するケースのことを指しています。
「そんな争いなんてうちには関係ないよ」と言っていたとしても、実際に分割する財産が見えるようになると、目の色が変わり欲しくなるのが人間の性、なのかもしれません。ただ争いまではならずとも、分割しにくい財産の場合は協議が難航することもありえます。
例えば、子2人で、少額の銀行預金と両親の家(実家。兄弟どちらかが居住していた。)を分割する場合、実家に住んでいた側はそのまま住みたいので相続したいでしょうが、一般的には不動産のほうが資産価値は高いですから、等分分割なら家を相続する側が、しない側にお金を渡すという分割方法しかありません。でもそんなお金がない。どうしよう。。。となってしまいます。
また、協議の結果は最終的に遺産分割協議書という一種の契約書にしなければ効力を発揮しません。例えば財産分割自体には争いはないが、相続人が海外にいたり、全くあったことのない親戚だった場合には、協議書の作成に時間を要するということもありえます。
いずれにせよ、最終的に遺産分割協議書を完成させなければ、相続手続きは終了しません。
訴訟予防策以外の遺言の効果
これまで相続の流れについてみてきました。
「別に遺言がなくても、この手続きを経れば相続できるんだから、遺言がなくてもいいんじゃないか」との声が聞こえてきそうです。
しかしながら、考えてみてください。
亡くなった場合に相続だけであれば、この手続きだけ(だけ、と言っても結構な分量ですが)ですが、相続以外にも死亡届から始まって様々な手続きがあります。
さらに通夜、葬式、告別式、初七日、四十九日法要等々。それらに対しての会場手配や、香典返し。やることは尽きません。
もっともお亡くなりになっているわけですから、故人を偲ぶ時間もあります。もしくは、そんな偲ぶ時間すらなく、手続きに追われることになるかもしれません。
そんな慌ただしい中で、相続で争いになれば、さらに時間は無くなります。残された家族も仕事や家事育児をしているわけですから、相続手続きに疲労困憊、となってしまいます。
そこで遺言の登場です!
遺言を作成する段階では、基本的には誰が相続することになるのか、どんなものを相続させるのかを考えています。つまり、上記手続きの中で相続人調査と相続財産調査は終わっています。ただし遺言作成後に財産が変わっている場合があるので、それは調べる必要があります。また、正確に言うと相続人調査は終わっていない可能性もありますが、一般的に遺言を残す場合は誰が相続人になるのかを検討した結果で遺言の中身を検討することが多いです。
また、遺産分割協議も遺言に異論がなければ協議する必要がありません。
つまり、遺言があれば、死後の相続手続きが相当楽になります!(語彙力低めの発言ですが)
そして、遺言を作る際に、すでに相続人当人に内容を明かしていれば、さらにスムーズです。
また、別の良い点とすれば、上記の相続手続きは相続人代表者の方が調査をしたり、協議をまとめたりということをしなければいけません。しかし遺言の中で遺言執行者というのを立てることで、その方が手続きを取り仕切ってくれます。つまり相続人本人がいろんなところに行って、手続きをする必要がなくなります。もちろんその分遺言執行者には費用を払うことにはなりますが、先ほど言った死後のさまざまな手続きがある中で、相続については一任できるため、かなりの労力削減になります。
以上が、遺言の訴訟予防以外の効果です。
遺言は故人の最終意思と表現しましたが、故人は残した家族内でもめ事を起こしてほしくないというのが一番の意思ですし、また亡くなった後できるだけ家族がバタつかないように、楽に相続させたいというのも意思でしょう。
「もめ事をなくす、楽な相続」を実現できるのが遺言です。自分には縁のないものだと思わず、早いうちから作成をお考えになったほうが良いと思います。
それでは今回も長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。では、またー。
(後記)
私の事務所ホームページが完成しました。と言っても、まだまだ業務内容等記載することは多いのですが、まずは自分を知ってもらうことが重要と考え、そちらを優先したホームページとなっています。
もしご覧いただければ幸いです。もちろんそちらからお仕事の依頼も大歓迎です!よろしくお願いいたします。
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