遺言は相続手続きを楽にする?

相続

こんにちは、横須賀市の行政書士、曽我です。

まだ関東甲信越地方は梅雨入り発表はないですが、すでに天気はずっと曇天。去年の梅雨明けはなんだかぼやーっとしていた気がしますが、今年は梅雨入りがぼやーっとした感じなんでしょうかね。

さて、今回は前回の続き、遺言の書き方についてお話しします。

(前回のテーマ) 遺言は縁起悪いもの?

遺言の書き方

まず、遺言ってどう書くんでしょうか?
ドラマ等では、式辞を読むかの如く、丁寧に上包みの中に入れられ、横に長い紙に、これまた丁寧に筆ですべてが書かれており、まずは感謝を述べるところから始まり・・・という描写があったりしますが、あれはフィクションですので、悪しからず。(言わずもがなでしょうが)

法律用語を使えば正しい表現になるのでしょうが、私のブログでは、わかりやすい説明を心掛けているので、かみ砕いてお話ししますと、遺言には3種類あります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。(ポイントだけを記載します。)

自筆証書遺言

端的に言えば、これがドラマに出てくる遺言です。自筆、と書かれていますから、これは本人が自筆で書かなければいけません。

  • 作成方法:本人が全文・作成年月日・氏名を自筆で書き、押印する。
    (ただし、相続財産の目録等については全ページに署名捺印があれば、自筆は不要)
  • 作成場所:どこでも(本人の自由)
  • 証人:不要(誰にも知られず、書くことが可能)
  • 家庭裁判所の検認:原則必要(遺言書保管所に保管されている遺言書は検認不要)
    ※検認:簡単に言えば、遺言の存在とその状態をみんなで見て、これ以降変更はないよね、と確認する作業です。有効か無効かを判断するわけではないことに注意!

すべてを自筆で書くというのはなかなか大変ですが、これなら誰にも明かさずに遺言を書くことが可能です。

ただし、誰も知らない遺言なので、裏を返せば、亡くなった後見つからないこともありえます。また、書いたはいいが、間違えた個所の訂正の仕方を誤って、遺言として有効ではないと死後判断されることもありえます。あとは、書いた時点で認知症のように遺言ができる健康状態ではなかったと判断されれば、これも無効となりえます。

さらに注意が必要なのが、何回か書き直した結果、遺言が複数見つかった場合。ドラマのような泥沼が待っています。いったいどれが本物なのか判断がつかず、筆跡鑑定までしての遺産相続争いとなってしまいます。代表的な例が、京都のかばん屋さんの一澤帆布ですね。

検認までは絶対に中を開けてはならず、相続人(全員である必要はない)立ち合いのもと、家庭裁判所で検認していくので、亡くなってあわただしい時期にとっては、ちょっと煩わしいものになります。

公正証書遺言

一般の方にはあまりなじみのない公証役場というところで行う遺言です。

  • 作成方法:本人が口述し、公証人が筆記する。
    ※公証人:ある書類を公証(公権力を根拠にした証明)する法律の専門家(公務員)
  • 作成場所:公証役場(原則行かなければならない)
  • 証人:自分と公証人以外で、2人以上が必要(内容は自分以外の誰かに必ず明かされる)
  • 家庭裁判所の検認:不要(内容が明らかになっているため)

自筆証書遺言とメリットデメリットが逆になった感じでしょうか。どこでもいつでもできるわけではなく内容も他人に知られるが、内容が公証人というプロ法律家によって確認されているので、基本的に無効な遺言にならず、家庭裁判所での煩わしい検認作業も不要。
また、作成方法ですが、本人が口述となっているので、「結局自分で書くんじゃん」と思われますが、実は基本的な遺言内容をもとに、公証人の方が原案を作成するので、本人は内容を固めておくだけ(=アイデアを考えておくだけ)でよいです。

ただ、注意点は、アイデアを考えて案を作って、修正して・・・という作業をする分、公証役場に行く回数は増えます。まあ、ここは行政書士が代行できる部分ですので、頼んでいただければ非常に楽に先ほどのメリットを享受できます。もしご依頼の場合は、私まで!
あとは、公証役場での手続きになりますので、手数料がかかります。これは相続させる財産の額によって変わりますので、気になる方は調べていただくか、私までご連絡ください。

秘密証書遺言

こちらは、上記二つの中間に位置するようなものです。

  • 作成方法:本人が遺言書に署名押印の後、公証役場で手続きする
  • 作成場所:公証役場
  • 証人:2人以上が必要
  • 家庭裁判所での検認:必要

秘密という文言がついている通り、中身(=遺言の内容)を誰にも明かすことはありません。また、自筆証書遺言はその遺言書が本人のものかどうかは、結局のところ本人しか知る由はありません。しかし秘密証書遺言の場合は、公証役場で公証人と証人が立ち合って、この遺言は本人のものと証明することになりますので、遺言書が本人のものであり、その存否も確認済みとなります。

手続きの流れを説明したほうが理解が早いと思いますので、ご説明します。
まずは、ご自身で遺言書を書きます。基本的には自筆証書遺言と同様の作成なのですが、自筆でなくても構いません。すなわち、パソコンで文面を入力してもOKということです。(もちろん、署名押印は必要です)そして遺言書に封をして、遺言書上の印と同じ印鑑で押印します。
その後、証人2人以上とともに公証役場に行きます。(既に押印して封がされた遺言書なので、公証人も証人も中身は確認できません。)公証人が日付、遺言書を書いた人を記入し、本人と証人が署名をして終了です。

ここまでの説明だと、中身も確認されないし、自筆でなくてもよく、遺言書が本人記入のものと証明されるので、良いこと尽くしと思われますが、現状この秘密証書遺言はほとんど利用されておりません。それはなぜか。

理由は、先日のブログでも書いた通り、遺言の目的にあります。遺言は故人がどうしたかったか、最後の意思表示の場ですから、それが果たされない可能性があれば、遺言としては意味のないものとなります。秘密証書遺言も結局のところ、中身はバレませんが、法律の専門家が書いたわけではないので、遺言として有効な文面になっているかは、検認してみないとわかりません。有効性が公正証書遺言ほど担保されないにもかかわらず、公証役場に出向いたり、少額ですが手数料がかかったりというところがありますので、秘密証書遺言は利用されていないというのが現状です。ま、あまり利用されていないからと言って、この方式ではできないというわけではございません。もしご利用をお考えであれば、サポートいたします。

以上が、遺言の3方式ですが、どれで書いたとしても、有効に成立した遺言であれば、基本的にはその遺言に従い、相続財産の分割をします。では、遺言の有無にかかわらず、「相続財産の分割」はどのように進むのか、こちらを次回見ていきながら、遺言の訴訟予防効果以外の効果について、お話ししたいと思います。今回もお読みいただきありがとうございました。では、またー。

(後記)
私の事務所ホームページが完成しました。と言っても、まだまだ業務内容等記載することは多いのですが、まずは自分を知ってもらうことが重要と考え、そちらを優先したホームページとなっています。
もしご覧いただければ幸いです。もちろんHPからお仕事の依頼も大歓迎です!よろしくお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました